名門/難関私立中学における不登校について力動精神医学的に考える【プロ家庭教師=現役臨床心理士】

 

せっかく志望校へ入ったのに…
あんなに受験を頑張ったのに…

勉強についていけない…
テストや宿題が鬼のよう…

学校に行きたくない…
不登校状態になってしまった…

いま、このページを読んでくださっている方、もしくは親御さんは、きっとそんなお気持ちでどうしようもなくなっていらっしゃるかと思います。

学校生活の悩みや学校に行けない悩みを抱える中学生さん、高校生さん。
とても増えています。

私こと家庭教師カウンセラーのもとにも、毎週のように相談のお申し込みがあります。

ひとりじゃない。
ウチだけじゃない。
でも…(´இ﹏இ`)
これからどうしたらいいんだろう?

大丈夫^^
一緒に考えていきましょう!

 

御三家と呼ばれる私立中をはじめとして、高偏差値かつ人気があって合格するのが難しい中学校では、近年大きな問題点がいくつか噴出しています。

特に、近年話題となるのが不登校の増加と”深海魚”現象です。

いろんなメディアが不登校や深海魚現象をトピックにしてくれていますが、これといった解決策はなかなか見つからないのが現状です。

今日は、難関中・名門中の「不登校の増加」について力動精神医学的な立場から眺め分析していきます。

力動的精神医学とは

力動的精神医学とは、社会問題や社会病理を個人の問題としてだけでなく社会・文化・歴史などのさまざまな背景との相互作用を含めて心理学・精神医学の立場から考える学問です。

私の師匠の本です⤵︎

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難関中で不登校が増加する原因

難関中学・名門中学で不登校が増加する原因は、ひとことでいえば「思ってたのと違った」ということではないかと思います。

入学前のイメージと、入学してから直面した現実とのギャップがつらくて行き渋り、いつしか不登校になってしまった…というケースが増えてきています。

では、入学前と入学後のギャップはどんなところから生まれるのでしょうか。

進学校としての「ブランド化」

特に、近年では少子高齢化が進み、各学校も「進学校」としての名門化・有名化を狙っています。

もちろん、御三家と呼ばれるようなトップクラスのうちのトップである中高一貫校はすでにブランド力がありますからそこまで必死にはなっていない…と思っていました。

しかし、ここ数年、当方にご依頼くださった方のうちで御三家もしくはその次のレベルくらいの中学に通われている生徒さんや保護者の方からは次のような切実な悩みが寄せられます。

とにかく東大を目指させるんです。
「東大に行くのが当たり前」みたいな授業が中1から始まります。

授業前から、教科書の内容はわかっていて当然といった授業です。
すぐに演習レベルの問題をがっつり解かされます。

このようなお悩みをお聞きしますと、名門中学・難関中学にもやはり少子化の波が押し寄せているのだと感じます。

名門・難関、どの学校も、もうすこしユルかったです。
というか、学校システムも授業も「生徒に任せる」学校が多かったです。

おそらく「東大・京大への合格者数をひとりでも増やしたい」という気持ちから、生徒へのプレッシャー掛けや授業の難化に拍車がかかっているのでしょう。

友だちの作りづらさ

そんなシビアな学習状況であったとしても、気の合うお友だちができればなんとか乗り切れるというお子さんも多くいらっしゃいます。

難しい授業やシビアな学校生活もお友だちさえいれば「ちょっとつらい」で済むのに、お友だちがいなくて誰とも気持ちを共有できないと「ものすごくつらい」になってしまいます。

お友だちがいなくて孤立感・孤独感が増すことで、勉強や授業に耐えられない…という現象が起きているのではないかと思うのです。

私立中・私立高での友だちづくりは、昔と比べて難しくなっているのでしょうか。

SNS上手は友だちづくりがうまい?

単純に、友だちをつくるというタスクで考えれば昔と比べて格段に簡単になっていると思います。

中学生の9割以上がスマホを持ち、SNSがこれだけ発達している今、友だちなんて作りたくなくてもできてしまいます。

しかし、この「友だちが簡単にできること」こそが、一部のお子さんにしてみると厄介なことこのうえないことらしいのです。

SNS上では、本当に思っていることと違うことを上手に短文で述べなければいけない状況が多発します。

また「いいね」を1回しなかっただけでも相手から勘ぐられ仲間外れにされるリスクがあります。

さらに、SNSいじめに加担せざるを得ない状況に陥ることも多々あります。

SNSを「巧みに使う」スキルをもっていれば別ですが、中学生にそんなスキルを求めるのは酷ですし,

そんなスキルを持っているほうが逆にどうなの⁈ 要領よすぎじゃない⁈ と心配になります。

思いやるのある優しい子ほどつらくなりがち

昭和〜平成初期に名門校・難関校を卒業されたおにいさんおねえさんの中には、「母校に入ったからこそ大人になってもなんでも話せる親友ができた」という方も大勢いらっしゃるでしょう。

お父さんお母さんの母校に入学したお子さんは、「きっと自分にも親友ができるだろう」とわくわくして入学式を迎えたと思います。

しかし、スマホ保持率増加やSNSの発達など、面倒なツールばかりが年々多くなります。

「広く浅く」の友だちづきあいしかできないことを嘆く生徒さんも少なくありません。

「親友のあなたにだけ話すけど…」と打ち明けたことが、翌朝には学年全体に知れ渡っている…といった現象すら起こります。もちろん陰口はいけませんが…

電話しかなかった昭和とは違います。

SNSという「裏の世界」ができたせいで「裏切り」が簡単に起こる時代になってしまいました。

現代は、親友づくりがなかなか難しい時代です。

このような「友だち」に関する理想と現実のギャップも不登校の原因になり得ます。

思いやりのある優しい子ほど、こんなハズじゃなかった…としょんぼりして、行き渋りから不登校状態に陥ってしまいやすい時代なのかもしれません。

自我の未成熟と生きづらさ

一見、「思いやりのある優しい子」でも、実は「依存心や幼さの残る子」である可能性があります。

自我が成熟していてさらに「思いやりがあって優しい子」ならば理想的な子だと思います。

しかし、一見優しい子でも次のようなタイプの子たちは競争の激しい現代の難関中学では生きづらさを感じやすいでしょう。

  • 頼れるお友だちがいないと安心できない…といった依存心がある子
  • 予備校化する学校を「だったら利用してやろう」と割り切ることの難しい子
  • 中学受験まで敷かれたレールをひた走るだけだった子
  • 理想化していた憧れの学校への失望を受け入れられずに現実を否認してしまう子

このようなタイプのお子さんは、不登校状態に陥っても「学校に行かなきゃ」「どうしたらいい?」と行動レベルで考える前に、自分自身と向き合って自我の成長を目指す必要があります。

私立中で不登校になると自我の発達が困難?

幼い部分を成長させるにはある程度の同年代の子との接触が必要になりますが、私立中の子は一度学校に行かなくなってしまうと同年代の子とのやりとりが難しくなりがちです。

プライドの高い子だとなおさらです。
小学校が一緒だった近所のお友だちとは不登校であることを打ち明けたくない気持ちが強い場合が多く、中高一貫校の同級生には劣等感がまさって声がけをしづらいといった「八方塞がり」になりがちだからです。

少しずつ自発的に、外に向けて心身をオープンにしていけるように促す必要があります。

長期ひきこもりのリスクも

プライドが高く幼さも残る子ですと、なかなか自分と向き合うのが難しいために、中学卒業から高校生になっても不登校状態が続いてしまう子も少なくありません。

さらに、勉強からも遠ざかってしまうと「中高一貫校に入学したのに中学卒業時でも学業の習得は中1レベル」といった受け入れがたい事実とも向き合わなければなりません。

「難関校に受かった」という事実だけがその子の誇りである場合(他にもいいところはたくさんあるのにそのように錯覚してしまうお子さんが少なくありません)、優越感が傷つくのが怖くて外部との交流を断ち、長期ひきこもりに移行してしまうリスクもあります。

複数の専門家や機関と連携して自律性を育てつつ、年齢に応じた学習内容や社会スキルを身につけていく必要があります。

家庭教師カウンセラー
家庭教師カウンセラー

名門・難関中高一貫校で不登校状態のお子さんのメンタル及び学習サポートの経験豊富です。

一緒にがんばりましょう!

動画文化とコロナ禍

現代は動画文化が非常に発展しています。3歳児ですらスマホをタップして動画を再生することはおろかリストから好きな動画を探して閲覧すらできます。

コロナ禍によって外遊びの機会も減りました。その前から、犯罪のリスクマネジメントとして外遊びを奨励しない風潮が高まっていました。親同士の摩擦を避けるためにバックグラウンドの不明な親子とは親しくなるのを避ける傾向も年々高くなっています。

外遊びどころか同年代と出会う機会そのものが減ってしまいました。

「子どもらしい遊び」ができないまま中学受験を迎える子が非常に増えています。

子どもらしい遊びの必要性

古くからの「子どもらしい遊び」の中で学べることは数多くあります。

鬼ごっこやかくれんぼで競争し、取っ組み合いで生傷を作り合い、礼儀や限度を学びます。

きょうだいがいればお家の中のきょうだい関係の中で学ぶことができますが、女性の社会進出や晩婚化、経済の不安定さなどからひとりっ子の割合が高くなり続けています。

子どもたちは子どもらしい遊びをしたくてもできる環境にありません。

子どもがバーチャルに慣れ親しむことの功罪

現代っ子、特に平成後期・令和生まれの子は、ゲームや動画でバーチャルな感覚のみが過剰に発達しています。コホート分析や縦断研究によって数年後に昔の子どもたちとの脳機能や心の状態の差異が明らかになるでしょう。

動画では「本音と建て前」を学ぶことができません。

動画の中で語られる嘘を真実だと信じている子も驚くほどたくさんいます。

嘘とまではいかなくても、動画制作者の主観でしかないことを一般論だと信じて疑わないケースが散見されます。

動画と現実のギャップ

動画から元気をもらったというお子さんもいらっしゃるでしょうが、リテラシーが未熟なお子さんにとっては動画視聴は大きなリスクが伴います。

簡単に嘘をつく子。
大法螺を吹く子。
自己主張の激しい子。
諭されたことを論破しようとする子。
とても増えています。

喋り方を聞いていると、とあるユーチューバーにそっくりだなと感じる子もいます。

一時期、クレヨンしんちゃんのような喋り方をする男児が保育園の中に2,3人はいましたが、「幼児のしんちゃん化」を上回る「中学生のユーチューバー化」をひしひしと感じます。

動画の影響だけではないと思いますが、学校でのリアルな対人関係の中で「何をどこまで言っていいか」「どこまでが本音でどこからが建て前か」といったことを見抜ける良識と経験を積んでいないと、仲間外れにされたり、疎外感を抱いたりする要因となるでしょう。

ユーチューバーの中にはとても誇大的な話し方と自信のあるそぶりをする人もいますから、自信のない子、もしくは自信を持ちたい子がユーチューバーのそのような様子に憧れを抱く気持ちも理解できます。

しかし、難関校でユーチューバーのような態度を取っていれば、周囲から浮いてしまいます。

難関中のトップ層は、動画なんて観ていないか、観ても真に受けない子がほとんどだと言えるでしょう。
真似するにしてもジョークとしてです。

難関中学に適応できるのはどんな子?

では、名門・難関と言われる学校に適応している子はどんなふうに過ごしているのでしょうか。

英語の得意不得意が鍵を握る

勉強面では、英語が得意な子は比較的適応しやすいようです。

「志望校に入れたのに”深海魚”になっちゃいました…助けて!」と連絡をくださる生徒さんの9割が英語に課題を抱えてらっしゃいます。

御三家の生徒さんには中1ですでに英検2級を取得している…という方も少なくありません。

英語の得意不得意というよりも、中学入学時点での英語経験の違いが大きすぎることが難関中学の不登校や深海魚現象の発生を増加させていると痛感します。

担任に悩みを話せる子は適応しやすい

担任の先生に相談しやすい子は学校にも適応しやすい傾向があります。

「宿題が多すぎて全部できませんでした…どうしたらいいですか」とか「友だちとトラブルになってしまって…学校に行きづらくなってしまいました」といった相談がこまめにできることはとても大切です。
オオゴトになる前に解決しやすくなります。

不登校状態の方や不登校寸前の方を多数支援させて頂いてきて感じるのは、不登校も「塵も積もれば山となる」ということです。

小さい塵のうちに、放置せず掃除するようにしておくと、山になりません。

“心のお掃除”のお手伝いに向いている人とで最も身近な人とは誰でしょうか。塵(と表現してはマズイでしょうが便宜上…学校の方針や宿題の内容、クラスメイトの性格などの比喩として)についてよく把握していて、掃除の仕方もよく知っている人…すなわち、担任の先生。ということになります。

家庭教師カウンセラー
家庭教師カウンセラー

担任の先生に話しづらい方も中にはいらっしゃると思います💧
私でよければいつでもなんでも話してくださいね⭐️

助言を素直に受け入れる子の傾向

先生や親からの助言を素直に受け入れる子は適応しやすい傾向があります。

特に、勉強において学校の先生から言われたことをすぐ実践する子は”深海魚”を回避して成績をキープすることができるため、再試や宿題が増えることもなく学校に馴染みやすくなります。

「中学受験はこの方法でうまくできていたから」というふうに自分なりの方法を曲げない子は、成績が上がらず適応もしづらい状況に陥りやすいです。

一方で、勉強以外のこともすぐに素直に従う子は「適応しやすい/しづらい」が両極端にわかれます。

自我が芽生えるまでは大人の意見に従うほうが何事もうまくいくのですが、そのうち「自分」が確立されてくると「自分」と「親」もしくは「自分」と「大人」の間で葛藤が生まれます。

その葛藤を抱えながら自分なりに過ごすことが困難になってくると、不適応行動のひとつとして不登校状態に陥りやすくなります。

まとめますと、勉強面では素直で生活面ではある程度自我が確立されている…というふうな子は、成績が上がりやすく困難に自主的に立ち向かう力も備わっているために、自然と学校にも適応します。

男子の場合

男子校では、友だちには重きを置かず、自分の将来に焦点化している子は難なく適応しているという印象です。

学校に適応しているというよりも、学校に適応する必要がない、もしくは学校を予備校として割り切って考えている…といったほうがフィットするかもしれません。

学校適応において、適度な自尊心は欠かせません。
自尊心が高すぎても低すぎても、不登校に陥りやすくなります。

高校まで進むと、自我も成長して男同士の仲間意識が生まれる子も多くいます。

また、体育会系の部活に入っている子は部活の先輩後輩関係も功を奏し、学校に適応しつつ自我の成長も早い傾向があります。

女子の場合

女子校では、校風に大きく左右される傾向があります。

例えば、おとなしい子、大人な感覚を持った子が多い学校では、似たような感覚の子が適応しやすいです。

「カトリックの学校が良かったから」「英語をたくさん勉強したかったから」など、学校独自のシステムに惚れ込んで入学した子もアドバンテージがあります。

「〇〇ができるからこそこの学校に入りたかった!」という目的を持っている人は多少の苦難ではモチベーションを失わずに適応し続けるパターンが多いです。

自分のパーソナルスペースを守りつつ相手のそれを乱さずにいられる子、場の空気を読むのが上手な子も適応しやすいでしょう。

すなわち、自立心旺盛で大人な感覚を持った、女子力の高い子は女子校でうまくいく可能性が高いです。

女子の場合は、通学時間が長いことも不登校の要因になるようです。

放課後の女子トークに参加できず疎外感を感じたり、通学に疲れてしまって休みがちになったりするためです。


以上、名門中・難関中の不登校増加について考えてみました。

私立の中高一貫校において不登校状態の生徒さんは近年驚くほど増えています。

けっしてひとりきりではありません。
同じように悩んでいる方がすぐ近くにいます。

だから安心して…などと気軽には申せませんが、こころの専門家としてサポートする準備ができています。いつでもご連絡ください→家庭教師カウンセラーにメールする

 

せっかく志望校へ入ったのに…
あんなに受験を頑張ったのに…

勉強についていけない…
テストや宿題が鬼のよう…

学校に行きたくない…
不登校状態になってしまった…

いま、このページを読んでくださっている方、もしくは親御さんは、きっとそんなお気持ちでどうしようもなくなっていらっしゃるかと思います。

学校生活の悩みや学校に行けない悩みを抱える中学生さん、高校生さん。
とても増えています。

私こと家庭教師カウンセラーのもとにも、毎週のように相談のお申し込みがあります。

ひとりじゃない。
ウチだけじゃない。
でも…(´இ﹏இ`)
これからどうしたらいいんだろう?

大丈夫^^
一緒に考えていきましょう!