【心理学の問題集】方法論(正誤問題)【院試対策・心理学検定の予想問題】

臨床心理士×プロ家庭教師の家庭教師カウンセラーが心理学の問題を作りました。

大学院入試や心理学検定の力試しとしてご活用ください。

今回は【心理学の科学的方法論】についての【正誤(マルバツ)問題】です。

心理学検定ではA領域(原理・研究法・歴史)に該当します。

解答・解説は本ページ末尾にあります。

それではがんばってください。

問題

問題1 法則定立的な研究と個性記述的な研究についての記述のうち、適切でないものはどれか。

  1. 自然科学は法則定立的な研究である。
  2. 精神科学は個性記述的な研究である。
  3. 法則対立的、個性記述的という用語は心理学者Allport, G. W. による。
  4. 法則定立的な研究とは一般的な法則を見出そうとする方法であり、個性記述的な研究とは特定の個人に特有の事象を研究する方法である。

問題2 演繹的研究法と帰納的研究法についての記述のうち、適切でないものはどれか。

  1. 演繹的研究とは、新たな一般法則を打ち立てる研究方法である。
  2. 演繹的研究法によって特定の理論から導き出された仮説の実証研究を仮説演繹法という。
  3. 帰納的研究とは、個別の事象から経験的に仮説を導き出す方法である。
  4. 演繹的研究法はトップダウン的なアプローチ、帰納的研究法はボトムアップ的なアプローチである。

問題3 自然科学と精神科学についての記述のうち、適切なものはどれか。

  1. 心理学は主観的なデータも扱うため、自然科学と方法論を共有しているとはいえない。
  2. 精神科学とは、心や意識・無意識を扱う心理学を意味し、社会学や文化人類学などは精神科学ではない。
  3. 主観的なデータのみから理論を構築する方法論は自然科学的である。
  4. 心理学は自然科学でもあり精神科学でもあると言える。

問題4 横断的研究と縦断的研究についての記述のうち、適切なものはどれか。

  1. 時期を限定して複数の集団について得られたデータを分析する方法は縦断的研究である。
  2. 横断的研究よりも縦断的研究のほうが容易に実行できるため、研究数も多い。
  3. ある特定の集団に対する追跡調査はフォローアップと呼ばれ、縦断的研究に該当する。
  4. 横断的研究は、発達や時代における差異や変化の調査に適している。

問題5 事例研究法についての記述のうち、適切でないものはどれか。

  1. 事例研究法はケーススタディとも呼ばれる。
  2. 事例研究法の長所として、観察や検査など複数の法則定立的な方法でアプローチできることがあげられる。
  3. 事例研究法の短所として、客観性や再現性など科学的根拠の曖昧さがあげられる。
  4. ある特定の事例における個性記述的な研究方法を事例研究法と呼ぶ。

解答・解説

解説の黄色いアンダーラインは適切な文章であることを表します。

問題1 法則定立的/個性記述的

正答:3

  1. 自然科学は法則定立的な研究である。
  2. 精神科学は個性記述的な研究である。
  3. 法則対立的、個性記述的という用語は心理学者Allport, G. W. による。→この文章は誤り。法則対立的、個性記述的という用語はドイツの哲学者Windelband, W. によるものであり、文中にあるアメリカの心理学者Allportは法則定立的・個性記述的研究という分類を主にパーソナリティ研究において援用した。
  4. 法則定立的な研究とは一般的な法則を見出そうとする方法であり、個性記述的な研究とは特定の個人に特有の事象を研究する方法である。

問題2 演繹的研究法と帰納的研究法

正答:1

  1. 演繹的研究とは、新たな一般法則を打ち立てる研究方法である。→誤り。演繹的研究は既知の理論から必然的に結論を導き出す方法。
  2. 演繹的研究法によって特定の理論から導き出された仮説の実証研究を仮説演繹法という。
  3. 帰納的研究とは、個別の事象から経験的に仮説を導き出す方法である。
  4. 演繹的研究法はトップダウン的なアプローチ、帰納的研究法はボトムアップ的なアプローチである。

問題3 自然科学と精神科学

正答:4

  1. 心理学は主観的なデータも扱うため、自然科学と方法論を共有しているとはいえない。→誤り。心理学ではインタビューなどで得た主観的なデータも取り扱うが、各種分析方法の決まりに則ってデータを数値化したり(量的研究)コード化したり(質的研究)して、客観的データに変換する。
  2. 精神科学とは、心や意識・無意識を扱う心理学を意味し、社会学や文化人類学などは精神科学ではない。→誤り。心理学はもちろんのこと、社会学や文化人類学も精神科学のひとつである。人間の精神の関連する学問はすべて精神科学といえる。
  3. 主観的なデータのみから理論を構築する方法論は自然科学的である。→誤り。1で述べた通り、科学は客観的なデータを取り扱って初めて科学と呼べる。主観的なデータのみを扱うのは随筆などの文芸のジャンルに区別されると思われる。
  4. 心理学は自然科学でもあり精神科学でもあると言える。

問題4 横断的研究と縦断的研究

正答:3

  1. 時期を限定して複数の集団について得られたデータを分析する方法は縦断的研究である。→誤り。時期を限定して複数の集団について得られたデータを分析する方法は横断的研究。
  2. 横断的研究よりも縦断的研究のほうが容易に実行できるため、研究数も多い。→誤り。調査方法や被験者群の確保の関係から横断的研究のほうが容易で研究数も多い。
  3. ある特定の集団に対する追跡調査はフォローアップと呼ばれ、縦断的研究に該当する。
  4. 横断的研究は、発達や時代における差異や変化の調査に適している。→誤り。発達や時代のは縦断的研究。

問題5 事例研究法

正答:2

  1. 事例研究法はケーススタディとも呼ばれる。
  2. 事例研究法の長所として、観察や検査など複数の法則定立的な方法でアプローチできることがあげられる。→ 誤り。事例研究法の長所は、個性記述的な方法でアプローチできること。
  3. 事例研究法の短所として、客観性や再現性など科学的根拠の曖昧さがあげられる。
  4. ある特定の事例における個性記述的な研究方法を事例研究法と呼ぶ。

おつかれさまでした!
勉強がんばってくださいね^^

参考文献・参考サイト

演繹推論(科学辞典)

以下はこのページの問題を作るにあたり参考にした文献です。
どれも必携の良書ですのでぜひお手にとってみてください。



ご覧いただきありがとうございます。

院試対策のオンライン家庭教師
大学生さんの学習支援
随時、承っております。

お問い合わせはお気軽に^^
家庭教師カウンセラー メールフォーム

LINE公式始めました
友達追加はお気軽に♪

友だち追加
石割美奈子(家庭教師カウンセラー)
LINE公式アカウント