神経・生理心理学:脳機能とニューロン/神経伝達物質(正誤問題)【大学入試(生物)対策・心理系大学院入試の予想問題】

臨床心理士×プロ家庭教師の家庭教師カウンセラーが生物/心理学の問題を作りました。

大学入試(生物)や大学院入試・心理学検定の力試しとしてご活用ください。

今回は【脳機能とニューロン/神経伝達物質】についての【正誤(マルバツ)問題】です。

大学入試では生物、大学院入試では基礎心理学分野、心理学検定ではB領域(神経・生理)に該当します。

それではがんばってください。

問題

問題1
脳機能と神経細胞(neuron)について述べた文として最も適切でないものはどれか。

  1. 神経細胞は脳細胞の90パーセントを占める。
  2. 神経細胞は活動電位(インパルス)によって情報を伝える。
  3. インパルスは脱分極が一定の閾値電位を超えると常に同じ大きさで発生する。
  4. 小脳のプルキンエ細胞の樹状突起が発達しているのは多くの信号を入力するためである。

問題2
シナプスに関する文として適切なものはどれか。

  1. 電気シナプスは小孔を介した電気の流れで、双方向性である。
  2. 電気シナプスのギャップ結合は無脊椎動物には見られない。
  3. 化学シナプスの伝達形式は一方向性である。
  4. シナプスにおける物質と受容体の関係を鍵と鍵穴にたとえると、鍵穴にあたる物質をリガンドという。

問題3
神経伝達物質について述べた文として適切でないものはどれか。。

  1. 神経伝達物質は、アミノ酸、アミン(モノアミン類)、ペプチドの3種類に分類することができる。
  2. アミノ酸の代表的な神経伝達物質であるグルタミン酸はGABAとも呼ばれる。
  3. ドーパミン神経系は快楽中枢と呼ばれていたが現在は報酬系として知られる。
  4. バソプレッシンやオキシトシンのように神経伝達物質であると同時にホルモンとしても働く物質もある。

問題4
神経伝達物質とその働きの組み合わせとして適切でないものはどれか。

  1. ノルアドレナリン──血圧上昇、基礎代謝率の増加
  2. アセチルコリン──運動神経、副交感神経
  3. ドーパミン──喜び、向上心、動機づけ
  4. セロトニン──ドーパミンやアセチルコリンの制御

問題5
神経伝達物質と関連する疾患の組合せとして最も適切でないものはどれか。

  1. アセチルコリン──レヴィー小体型認知症
  2. ドーパミン──過食症
  3. オキシトシン──依存症
  4. オレキシン──ナルコレプシー

おつかれさまでした!
以下、解答と解説になります。

解答・解説

解説の黄色いアンダーラインは適切な文章であることを表します。

問題1 脳細胞と神経伝達

正答:1

  1. 神経細胞は脳細胞の90パーセントを占める。→誤り。神経細胞は脳細胞の10パーセントを占め、残りの90パーセントはグリア細胞。
  2. 神経細胞は活動電位(インパルス)によって情報を伝える。
  3. インパルスは脱分極が一定の閾値電位を超えると常に同じ大きさで発生する。→このことを「全か無の法則」という(無藤,森,遠藤,2004)
  4. 小脳のプルキンエ細胞の樹状突起が発達しているのは多くの信号を入力するためである。

問題2 シナプス

正答:3

  1. 電気シナプスは小孔を介した電気の流れで、双方向性である。→誤り。電気シナプスは方向性がない。
  2. 電気シナプスのギャップ結合は無脊椎動物には見られない。→誤り。ギャップ結合は無脊椎動物で一般的に見られる。
  3. 化学シナプスの伝達形式は一方向性である。
  4. シナプスにおける物質と受容体の関係を鍵と鍵穴にたとえると、鍵穴にあたる物質をリガンドという。→誤り。鍵と鍵穴のにたとえた場合、にあたる物質がリガンドである。

問題3 神経伝達物質とは

正答:2

  1. 神経伝達物質は、アミノ酸、アミン(モノアミン類)、ペプチドの3種類に分類することができる。
  2. アミノ酸の代表的な神経伝達物質であるグルタミン酸はGABAとも呼ばれる。→誤り。GABAはγ-アミノ酪酸(gamma-aminobutylic acid)の頭文字をとったもの。
  3. ドーパミン神経系は快楽中枢と呼ばれていたが現在は報酬系として知られる。
  4. バソプレッシンやオキシトシンのように神経伝達物質であると同時にホルモンとしても働く物質もある。

問題4 神経伝達物質の働き

正答:4

  1. ノルアドレナリン──血圧上昇、基礎代謝率の増加
  2. アセチルコリン──運動神経、副交感神経
  3. ドーパミン──喜び、向上心、動機づけ
  4. セロトニン──ドーパミンやアセチルコリンの制御→誤り。セロトニンの働きはドーパミンやノルアドレナリンの制御。

問題5 神経伝達物質と疾患

正答:3

  1. アセチルコリン──レヴィー小体型認知症
  2. ドーパミン──過食症
  3. オキシトシン──依存症→誤り。依存症に影響があるとされているのはドーパミン。
  4. オレキシン──ナルコレプシー

神経伝達物質と疾患まとめ

神経伝達物質と疾患
  • アセチルコリン減少:アルツハイマー型認知症、レヴィー小体型認知症
  • ドーパミン過剰:統合失調症、過食症、各種依存症
  • ドーパミン減少:パーキンソン病
  • セロトニン減少:うつ病、不安障害、自律神経失調症
  • オキシトシン減少:発達障害
  • オレキシン減少:ナルコレプシー(過眠症)

おつかれさまでした!
勉強がんばってくださいね^^

参考文献・参考サイト

やはり、脳と宇宙の構造は似ている……最新研究(ニューズウィーク日本版)
小脳神経細胞の樹状突起で新規の学習原理を発見 -小脳プルキンエ細胞の樹状突起では、樹状突起の興奮性が入力の伝搬を決める-(京都大学)→問1
GABA(ヤクルト中央研究所)→問3
神経伝達物質(三京房 心理検査出版 心理学事典)→問3
認知症のお薬について(和歌山県立医科大学付属病院 認知症疾患医療センター)→問4
過食を生む脳(日経サイエンス)→問5
ノルアドレナリン,ナルコレプシー,セロトニン(厚生労働省e-ヘルスネット)→問4,5

無藤,森,遠藤(2004)心理学 New Liberal Arts Selection(有斐閣)…参照:問1
東田,棟居(2010)オキシトシンと発達障害 脳21 vol.3 no.2 参照:問5


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