産業・組織心理学:「科学的管理法」(正誤問題)【院試対策・心理学検定の予想問題】

臨床心理士×プロ家庭教師の家庭教師カウンセラーが心理学の問題を作りました。

大学院入試や心理学検定の力試しとしてご活用ください。

今回は産業・組織心理学の中から【科学的管理法】についての【正誤(マルバツ)問題】です。

大学院入試では基礎心理学分野、心理学検定ではB領域(産業・組織)に該当します。

それではがんばってください。

問題

問題1
科学的管理法の生まれた背景として適切でないものはどれか。

  1. 1900年代初頭、アメリカにたくさんの移民が到来した。
  2. 科学的管理法の提唱者・Taylor, F. W. はフィラデルフィアの鉄鋼会社の技師だった。
  3. 労働者たちは能力や勤勉さが不足しており、仕事への怠慢が目立った。
  4. 管理者たちは労働者の管理方法や生産性を高める方法に悩んでいた。

問題2
科学的管理法と管理者 テイラーの管理方式が管理者に求めることとして適切でないものはどれか。

  1. 科学的な方法に従って適材適所となるように人事を進める。
  2. 労働者の経験や判断を尊重しながら科学的方法を取り入れる。
  3. 労働者よりも管理者に適した仕事は管理者が行う。
  4. 仕事に関する責任は管理者と労働者が平等に分け合う。

問題3
科学的管理法の核となるシステムや内容を述べたものとして適切でないものはどれか。

  1. 作業に必要な最短時間を求める時間分析
  2. 要素に分割した作業に最適な動作を見出す動作研究
  3. 職務に必要な要件や作業環境、責任、権限などを明確化する職務分析
  4. 作業能率を上げ標準作業量を超えても出来高払いは行わない刺激賃金制度

問題4
科学的管理法のメリットとして適切でないものはどれか。

  1. 職務分析を通して採用・配置・訓練・評価などの基準が明確になった。
  2. 人事管理のプロセスが確立された。
  3. 生産効率改善という点で会社に利益をもたらした。
  4. 経済的人間観でなく社会的人間観の重要性が注目され人間関係論の発展に貢献した。

問題5
科学的管理法に向けられた批判の対象としてもっとも適切でないものはどれか。

  1. 単純な反復作業
  2. 差別出来高給制
  3. 拘束力の高さ
  4. 人間性疎外

解答・解説

解説の黄色いアンダーラインは適切な文章であることを表します。

問題1 科学的管理法の生まれた背景

正答:3

  1. 1900年代初頭、アメリカにたくさんの移民が到来した。
  2. 科学的管理法の提唱者・Taylor, F. W. はフィラデルフィアの鉄鋼会社の技師だった。
  3. 労働者たちは能力や勤勉さが不足しており、仕事への怠慢が目立った。→誤り。下記参照。
  4. 管理者たちは労働者の管理方法や生産性を高める方法に悩んでいた。

組織的怠業…20世紀初頭、労働者たちは自分たちが作業能率を上げて生産を増やしてしまうと、製品が市場に多く出回り製品の値段が下がるので、自分たちの賃金が下がると考えた。監督者側の労働者管理システムも行き届いていなかったため、労働者たちは作業に手加減をし、内部的な生産量制限(組織的怠業)をしていたとされる(角山, 2011

問題2 科学的管理法と管理者

正答:2

  1. 科学的な方法に従って適材適所となるように人事を進める。
  2. 労働者の経験や判断を尊重しながら科学的方法を取り入れる。→誤り。労働者の経験や判断よりも科学的方法を重視し、標準化することで人事管理を簡潔にした。
  3. 労働者よりも管理者に適した仕事は管理者が行う。
  4. 仕事に関する責任は管理者と労働者が平等に分け合う。

問題3 科学的管理法の核

正答:4

  1. 作業に必要な最短時間を求める時間分析
  2. 要素に分割した作業に最適な動作を見出す動作研究
  3. 職務に必要な要件や作業環境、責任、権限などを明確化する職務分析
  4. 作業能率を上げ標準作業量を超えても出来高払いは行わない刺激賃金制度 →誤り。下記参照。

刺激賃金制度…能率給または能率奨励賃金などをさし,労働者の賃金が作業能率に応じて増額または減額されるもの。(コトバンク

問題4 科学的管理法のメリット

正答:4

  1. 職務分析を通して採用・配置・訓練・評価などの基準が明確になった。
  2. 人事管理のプロセスが確立された。
  3. 生産効率改善という点で会社に利益をもたらした。
  4. 経済的人間観でなく社会的人間観の重要性が注目され人間関係論の発展に貢献した。→誤り。下記参照。

経済的人間観と社会的人間観科学的管理法が重視したのは経済的人間観による動機づけである。一方、ホーソン実験によって見出された人間関係の重要性、すなわち社会的人間観は科学的管理法では光の当たらなかった社会心理学的な視点である。

問題5 科学的管理法への批判

正答:2

  1. 単純な反復作業
  2. 差別出来高給制 →誤り。差別出来高給制=刺激賃金制度は作業成績に応じて賃金が上乗せされるシステムで現在でも用いられているものである(角山, 2011
  3. 拘束力の高さ
  4. 人間性疎外

おつかれさまでした!
勉強がんばってくださいね^^

参考文献・参考サイト

渡辺直登(2012 )産業・組織心理学 日本労働研究雑誌pp.46-49(特集:この学問の生成と発展)

以下はこのページの問題を作るにあたり参考にした文献です。
どれも必携の良書ですのでぜひお手にとってみてください。

恩師の著作です!読みやすくわかり良いです!

産業・組織(キーワード心理学シリーズ12)

わかりやすく実践的な講義をしてくださる新田先生の産業組織臨床本。組織心理と個人心理の相互作用を考えたい人はぜひご一読を。

心理職の組織への関わり方: 産業心理臨床モデルの構築に向けて



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