非行・犯罪心理学:ポリグラフ検査/取調べと鑑定(正誤問題)【大学院入試対策・心理学検定の予想問題】

臨床心理士×プロ家庭教師の家庭教師カウンセラーが心理学の問題を作りました。

大学院入試や心理学検定の力試しとしてご活用ください。

今回は非行・犯罪心理学の中から【ポリグラフ検査・取調べと鑑定】についての【正誤(マルバツ)問題】です。

大学院入試では基礎心理学分野、心理学検定ではB領域(非行・犯罪)に該当します。

それではがんばってください。

問題

問題1
犯罪捜査で活用されるポリグラフ検査について述べた文として最も適切なものはどれか。

  1. ポリグラフ検査とは「ポリ(police=警察)グラフ(graph=記録)」の意味で、警察の捜査において用いる検査である。
  2. ポリグラフ検査は被験者の虚偽を発見するために特別に作られた検査システムである。
  3. ポリグラフ検査は記憶検査の一種である。
  4. ポリグラフ検査の結果はパーソナリティの影響を受けやすく、被験者の性格によって検出率が下がることが多い。

問題2

発汗や皮膚電気活動に関する文として適切でないものはどれか。

  1. 発汗とは温熱性発汗と精神性発汗の2種類を指す。
  2. 皮膚電気活動とは精神性の発汗を電気的に捉えたものである。
  3. 皮膚電気活動は情動や認知に伴う自律神経の働きを示す指標となる。
  4. 精神性発汗は手掌部・足底部にあるエクリン汗器官の発汗活動のひとつである。

問題3
犯罪捜査におけるポリグラフ検査の質問法について述べた文として適切でないものはどれか。。

  1. 対照質問法(コントロール質問法:control question test)は直接的質問法である。
  2. 対照質問法は秘匿情報検査とも呼ばれる。
  3. 対照質問法は被験者が行った犯罪に関する質問には常に最大の反応が生起するという前提に従っている。
  4. 対照質問法は主に米国で用いられている。

問題4
犯罪捜査におけるポリグラフ検査の質問法について述べた文として適切でないものはどれか。

  1. 犯行知識検査(CIT)は間接質問法である。
  2. 日本では犯行知識検査(CIT)が専ら用いられている。
  3. 犯行知識検査(CIT)では「あなたが犯人ですか」といった取調べに近い質問も行う。
  4. 犯行知識検査(CIT)では犯罪事実を示す裁決質問ひとつと犯罪事実でない非裁決質問複数を組み合わせて質問リストを作る。

問題5
日本の司法における取調べと鑑定について述べた文として適切でないものはどれか。

  1. ポリグラフ検査は取調べとしても鑑定としても用いられる。
  2. ポリグラフ検査の結果は証拠として認められている。
  3. 刑事事件における取調べは捜査機関のみで行われ、心理学の専門家などの鑑定人などは含まれない。
  4. 心理学の専門家が関わる鑑定にはポリグラフ検査の他に精神鑑定や知能検査などがある。

解答・解説

解説の黄色いアンダーラインは適切な文章であることを表します。

問題1 ポリグラフ検査とは

正答:3

  1. ポリグラフ検査とは「ポリ(police=警察)グラフ(graph=記録)」の意味で、警察の捜査において用いる検査である。→誤り。「ポリ(多くの)グラフ(記録)」を意味する。
  2. ポリグラフ検査は被験者の虚偽を発見するために特別に作られた検査システムである。→誤り。
  3. ポリグラフ検査は記憶検査の一種である。
  4. ポリグラフ検査の結果はパーソナリティの影響を受けやすく、被験者の性格によって検出率が下がることが多い。→誤り。パーソナリティなどの特性は検出しやすい方向への影響がある(財津,2014)

問題2 発汗と皮膚電気活動

正答:1

  1. 発汗とは温熱性発汗と精神性発汗の2種類を指す。→誤り。温熱性、精神性のほかに味覚性発汗がある。
  2. 皮膚電気活動とは精神性の発汗を電気的に捉えたものである。
  3. 皮膚電気活動は情動や認知に伴う自律神経の働きを示す指標となる。
  4. 精神性発汗は手掌部・足底部にあるエクリン汗器官の発汗活動のひとつである。(桐生,2014)

問題3 ポリグラフ検査における質問法1

正答:2

  1. 対照質問法(コントロール質問法:control question test)は直接的質問法である。
  2. 対照質問法は秘匿情報検査とも呼ばれる。→誤り。秘匿情報検査は犯行知識検査もしくは有罪情報検査(concealed information test:CIT)のことで日本で専ら用いられる間接質問法
  3. 対照質問法は被験者が行った犯罪に関する質問には常に最大の反応が生起するという前提に従っている。
  4. 対照質問法は主に米国で用いられている。

問題4 ポリグラフ検査における質問法2

正答:3

  1. 犯行知識検査(CIT)は間接質問法である。
  2. 日本では犯行知識検査(CIT)が専ら用いられている。
  3. 犯行知識検査(CIT)では「あなたが犯人ですか」といった取調べに近い質問も行う。→誤り。CITでは直接的な質問はせず、犯行における知識のみを質問する。(財津,2014)
  4. 犯行知識検査(CIT)では犯罪事実を示す裁決質問ひとつと犯罪事実でない非裁決質問複数を組み合わせて質問リストを作る。

問題5 取調べと鑑定

正答:2

  1. ポリグラフ検査は取調べとしても鑑定としても用いられる。→誤り。ポリグラフ検査は日本では鑑定として行われる。
  2. ポリグラフ検査の結果は証拠として認められている。
  3. 刑事事件における取調べは捜査機関のみで行われ、心理学の専門家などの鑑定人などは含まれない。
  4. 心理学の専門家が関わる鑑定にはポリグラフ検査の他に精神鑑定や知能検査などがある。

おつかれさまでした!
勉強がんばってくださいね^^

参考文献・参考サイト

科学警察研究所 情報科学第一研究室
ポリグラフ検査の研究(日本犯罪心理学会)
皮膚電位について(SKINOS)…参照:問2
汗のこと
汗の基礎知識(花王)
特集:変容する捜査環境と警察の取組(警察庁)
検察事務官の職務権限(検察庁)
犯罪捜査規範 昭和三十二年国家公安委員会規則第二号(e-gov 法令検索)

桐生正幸(2014)発汗によるポリグラフ検査の検討 関西国際大学研究紀要 第15号pp.135-139…参照:問1~2
高澤則美(2009)ポリグラフ検査 -日本における検査実務と研究の動向- 生理心理学と精神生理学27…参照:問1~4
財津亘(2014)ポリグラフ検査に対する正しい理解の促進に向けて 立命館文学 636 pp.1155-1144…参照:問1~4

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